朝ドラ「エール」第3週(11話~15話)のネタバレあらすじまとめです。
2020年4月13日(月)~4月17日(金)放送
第3週サブタイトル「いばらの道」
朝ドラ「エール」第3週のネタバレあらすじ
こちらでは、朝ドラ「エール」第3週に放送されたストーリーから、ネタバレあらすじをまとめています。
第3週の各話ごとの詳細ネタバレあらすじを知りたい方は、こちらからご確認ください。
放送回 | 放送日 |
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第11話「自由な裕一に反発する弟浩二 」 | 4月13日(月) |
第12話「作曲が出来ずに悩む裕一」 | 4月14日(火) |
第13話「三郎からの人生に関わる告白」 | 4月15日(水) |
第14話「踊り子志津との出会い」 | 4月16日(木) |
第15話「村野鉄男との再会」 | 4月17日(金) |
福島商業学校で留年した裕一
大正15年、福島商業学校に進んだ裕一は、17歳になっていました。
窪田正孝演じる古山裕一は、相変わらず音楽に夢中で、勉強そっちのけで、音楽三昧の生活を送っています。
音楽ばかりの毎日を送っていたせいもあり、裕一は留年してしまい、2度目の4年生を送ることになりました。
授業中でも作曲に夢中で、廊下に立たされる始末。
ハーモニカ倶楽部
そんな裕一ですが、学校が終われば、地元のハーモニカ倶楽部に足を運ぶ毎日。
小学校時代に裕一をよくいじめていた二人の内の一人である楠田史郎も、今ではハーモニカ倶楽部の仲間として練習しています。
裕一が所属するハーモニカ倶楽部の会長館林がやってくると練習がスタートしました。
裕一が所属するハーモニカ倶楽部は、地元でも選び抜かれた社会人と学生で構成されているレベルの高い倶楽部です。
練習が終わると館林から話がありました。
それは、次の公演で独自作を1曲演目に入れるという話でした。
そこで、ハーモニカ倶楽部のメンバーが自作した曲の中から選ぶことになりました。
もちろん裕一もメンバーの一人です。
館林から
「やる気はあるか?」
といわれると裕一は、
「はい!」
とこたえました。
裕一に不満がある弟の浩二
家に戻ってきた裕一は、自分のオリジナル曲がハーモニカ倶楽部で演奏できるかもしれないという期待から早速作曲に取りかかります。
小学生で蓄音器から流れる西洋音楽に出会って以来、裕一はずっと音楽の勉強を独学で続けてきました。
そんな自由奔放な裕一の姿勢に、佐久本宝演じる古山浩二が愚痴をこぼしていました。
「母さんが卓上ピアノなんか買うがら 落第すんだよ。」
「 買ってくれたら勉強頑張るって言うから。」
というと、浩二が、二人は兄に甘すぎるといいます。
それを聞いていた唐沢寿明演じる古山三郎は、
「俺もかよ。」
と不満を口にします。
浩二は裕一が留年したことに対しても愚痴をこぼします。
「俺、商業行くのやめて、高等学校を目指す。」
そう言って浩二は、進学する学校も変えようとしました。
そのことを2階にいる兄に伝えると
「あっそう。あっ いいんじゃない?」
とそっけない言葉をかけます。
浩二は、まったく無関心の兄を見て不満そうに自分の部屋に戻っていきました。
喜多一に吉野が訪れる
父・三郎に商談を持ちかける京都の商人、吉野福之助役で #田口浩正 さんがゲスト出演されました!#朝ドラエール pic.twitter.com/4cdqJuzggs
— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) April 13, 2020
一方、三郎が経営する呉服屋『喜多一』はというと、京都の商品を福島の呉服店や百貨店に卸す問屋をしていました。
そんな喜多一を訪ねてきたのは、吉野という男がやってきて
「もうちょっと 商売広げる気いはないですか?」
と何か話を持ちかけるのでした。
三郎は話が終わると吉野を見送りました。
そこへ大河原が近づいてきて、三郎にどんな話でした?と聞くと
「すんげえ話だ!」
と上機嫌にこたえる三郎。
吉野は、もうけ話があると三郎に話を持ち掛けていました。
「京都の呉服一手に引き受ける!」
「もう福島だけじゃ収まんねえ! 東北全部が商売相手だ!」
浮かれている三郎になんだか浮かない顔の大河原。
会長・館林に怒りを覚える裕一
ハーモニカ倶楽部に所属していた裕一には、尊敬する先輩がいました。
ある日、尊敬するハーモニカ倶楽部の舘林会長が、家業を継ぐためにプロの音楽家を目指すことをやめると打ち明けられます。
舘林の兄が思い病気を患っていたのです。
「プロの音楽家になるって言ってたのに諦めんですか?」
同じ志を持つ館林に裕一は、戸惑いながらも質問します。
「君本気で言ってるの?」
「僕は東京の音楽学校に行った。そして知った。」
「すごいやつはうようよいる。」
同志と思っていた裕一は、館林の言葉に耳を疑いました。
「じゃあ何でプロになるって?」
「みんなを鼓舞するためだ。 夢がないと努力できないだろう。」
「か、会長は僕の目標だったのに。」
裕一はそんな会長の言葉に、唖然としてしまいます。
尊敬していた会長の言葉だけに、深く心に突き刺さったようです。
三郎と裕一の会話
家に戻った裕一は、公演で演奏する作曲にとりかかっていました。
音楽家になるという大切な夢を笑い飛ばされた裕一は、なんとか舘林会長を見返してやろうと奮起します。
しかし、作曲しながらも、館林の言葉が頭から離れません。
「本気で音楽家になるつもりだったの?」
「ちゃんとした音楽理論も学んでない」
「ハッ! 夢はいくらでも持ちたまえ。」
「ただ人間身の程を知ることも大切だよ。」
思い出しただけでも怒りがこみ上げて、まったく作曲できませんでした。
そんな中、突然、茂兵衛が喜多一を訪れます。
風間杜夫演じる権藤茂兵衛は、父・源蔵から養子縁組を急かされていたのです。
茂兵衛と話が終わった三郎は、裕一の部屋に入ってきました。
「実はな、さっき茂兵衛さんが来た。」
「まさか、また養子の話?や、やだよ僕。」
裕一もすでに裕一か浩二のどちらかを養子にやるという話を知っているようです。
そんな嫌がる裕一に三郎は音楽家になりたいか?と問いかけます。
裕一は、西洋音楽の代表的な作曲家『小山田耕三』のような音楽家になると三郎に訴えます。
それを聞いた三郎は、
「おめえの気持ちは分がった。」
「おめえの夢は、俺の夢でもある。」
「頑張れ。」
と裕一を励まし、部屋をでていきました。
曲が書けないことにいらだつ裕一
裕一は、ハーモニカ倶楽部のたまり場の喫茶店で、舘林を見返すために、公演曲の作曲に取り組んでいました。
しかし、どうがんばっても館林の顔が浮かぶばかりで、曲が何も浮かんできません。
「一人でも書けない。環境を変えても駄目。」
自暴自棄に陥る裕一に史郎が、会長はもう提出したらしいと話しかけます。
さらに会長以外は誰も応募する人がいないから、裕一が出さなければ会長で決まりと話します。
それを聞いた裕一は、会長への怒りから絶対に見返してやると意気込むのです。
そんな裕一をみかねて史郎が
「裕一らしくねえよ。」
「怒っとか負けないとか君には似合わねえ。」
といいます。
温厚でおとなしかった裕一とはまるで別人のように違和感を感じた史郎は、さらに
「今の君は君じゃない。」
「君じゃねえから書けねえんじゃねえかな。」
と訴えました。
裕一は史郎の言葉で、自分を取り戻すとしますが、どうしても譜面に向き合うと会長の顔が浮かんできてしまうと訴えます。
そこで史郎が僕の顔
「試しに、僕の顔、浮かべてみてよ。」
「ほら、、、うん?」
と裕一に提案します。
史郎は円満の笑顔で裕一に顔を出しました。
それをじっと眺めていた裕一は何か感じ取ったようにおお~!と叫ぶのです。
「あ、、、新しいの出来っかも!」
裕一は史郎のおかげで、曲作りの道が開けたようです。
史郎の言葉で冷静になった裕一は、純粋に音楽を愛していた自分を取り戻し、ペンを走らせます。
三郎からの話
次の朝、古山家では朝ごはんを食べていました。
三郎が二人に今日はいつ帰ってくるんだと聞くと浩二が普段どおりとこたえます。
裕一にも聞くと
「僕遅くなる。今日決選投票なんだ。」
と答える裕一。
まさが
「投票って何の?」
と質問すると、裕一は、ハーモニカ倶楽部の公演でオリジナル曲を1曲演奏するからその投票があることを説明します。
そして、改めてまさが二人に
「2人とも今日帰ったら、お父さんから話があるから。」
と話をするのでした。
定期演奏会曲目投票
「では開票する。」
ついに定期演奏会の曲目投票がはじまりました。
争うのは、館林信雄が作曲した『明日に奏でる』と古山裕一が作曲した『想ひ出の徑』の2曲です。
開票が進み最後の一枚残し9対9の同票。
最後の一枚は、館林に入り裕一は落選してしまいました。
しかし、その時です。
川口覚演じるハーモニカ倶楽部会長・舘林が、思いもよらないことを口にします。
「待て。まだ 卒業した先輩たちの票を預かってる。」
部屋にいた部員たちはざわめきます。
すべての表が開票されると裕一は、逆転で当選を果たしたのです。
史郎は
「俺いっぱい練習すっから。」
と裕一に言います。
裕一は自分の曲が選ばれたのにあまりうれしそうではない様子。
「会長、、、どんな気持ちだったのかな?」
裕一は会長を気遣います。
「あ~あの人は、ああ見えて現実主義者だよ。」
「最初っから分かってたんじゃない? 裕一が選ばれること。」
史郎の言葉に裕一は、何を言っているのか分かりませんでした。
「先輩たちに投票させたのだって会長の指示なんだって。」
「音楽を純粋に審査するために、しがらみのない人まで投票枠を広げたんじゃねえかな。」
裕一は、その話を聞くと自分に勝たせるために投票枠を広めたことなのかと史郎にいいます。
「そうじゃなくて本当にいい曲が選ばれっことを望んでたと思う。」
「会長は そういう人間だ。」
会長は、忖度されて実力じゃないのに自分の勝ちになるのが嫌だったのかもしれません。
浩二に呉服屋『喜多一』を継がせる
そのころ、呉服屋『喜多一』では、三郎と浩二が朝話していた話をしていました。
話と言うのは、呉服屋『喜多一』を二男の浩二に継がせるという話です。
そんなところに、裕一がただいまと帰ってきます。
裕一は、自分の曲が選ばれたことを早速、家族に話をしますが、なんだかかしこまった雰囲気に気づく裕一。
どうしたのと聞くと三郎が
「この店は浩二に継がせる。」
といいます。
裕一が浩二にいいのかと聞くと
「俺は継ぎたかった。」
と答える浩二。
そんな、浩二に裕一はありがとうといいます。
そんな二人をみて、三郎はある決断をするのです。
「あっ、茂兵衛さんか? すまねえ 息子は渡せねえ。」
子どもたちに話をした三郎は、茂兵衛に電話をかけ、改めて養子の話を断るのでした。
養子を断るということは、権藤家と絶縁をすることを意味します。
十分承知している三郎とまさは覚悟を決めていました。
連帯保証人になっていた三郎
全てがうまく回り始めたその時、事態が一変します。
呉服屋『喜多一』の従業員の及川が急いで戻ってきて
「旦那、大変です。」
「き、京都の、よし、、、よし、、、」
と話そうとしますが、言葉がでません。
吉野さんのことかと三郎が聞くと
「とんずらしたって!」
と及川が叫びました。
それを聞いた三郎は脳裏に吉野とのやり取りが浮かびました。
三郎は、吉野が準備していた借用証書に連帯保証人としてハンコを押していたのです。
吉野の甘い儲け話にだまされた三郎は、急転直下で窮地に陥るのでした。
茂兵衛にお願いする古山夫婦
三郎が連帯保証人になった金額は、どうあがいても喜多一が持たない金額です。
難を逃れるためには、茂兵衛に頼るしかありませんでした。
「今度ばかりはあんたしか喜多一を助けらんねえ」
「恥を忍んでこのとおりです!」
茂兵衛が部屋に入ってきて、開口一番にそういう三郎。
「傑作だ。この前は俺が頭下げて今度は君が頭下げる。」
それを見て、茂兵衛は鼻で笑います。
「兄さんしかいないの。」
「お願えします!」
「当座をしのげは必ず返します。」
まさは兄の茂兵衛に融資してもらうようお願いします。
「どっちかを養子に出せ。 融資の条件はそれだけだ。」
もちろん茂兵衛の条件は、裕一か浩二のどちらかを養子にだすこと。
しかし、まさは、二人の気持ちを考えてほしいと訴えます。
そんなまさに
「 なぜ身内に男が2人いるのに、養子に出せねえんだ?」
「権藤家が、、、ああ?他人に渡るのにおめえは賛成なのか?許せるのか!?」
と攻め立てる茂兵衛。
まさはそれでも家族だから助けてほしいと懇願します。
「 家族?」
「ああ、、、俺もおめえたちの家族じゃねえのか?」
「俺はおめえたちに助けてほしいんだ。」
「俺はこの家族とこの家を守りてえだけだ!」
茂兵衛も同じ家族。
三郎もまさもそれ以上何も言えなくなりました。
次期会長に裕一を指名
裕一たちハーモニカ倶楽部は、公演会に向けて練習をしていました。
練習が終わると、館林が次の公演をもってハーモニカ倶楽部を辞めると発表します。
突然の発表に戸惑う会員たち。
そして、次期会長に古山裕一を指名するのです。
突然の次期会長の指名に戸惑っている裕一。
「僕を否定したのにな、何でですか?」
先日、館林から否定されていた裕一は理解できずにいました。
「君の作品はすばらしい。 君は才能を授けられた。」
「僕は君に嫉妬している。」
「ただ同時にその才能を無駄にしてほしくないとも思ってる。」
「もし夢を実現したいなら、東京へ行け。」
館林は、裕一に嫉妬しつつもその才能を認めていたのです。
「あ、、、ありがとうございます。」
最後は、みんなから拍手を送られて次期会長になることが決定しました。
公演会開始前
ついに迎えたハーモニカ倶楽部の定期演奏会当日。
開演前に、楠田は裕一の表情がさえないことに気にかかっていました。
裕一に声をかけますが、裕一は別にというだけでどこかにいってしまいました。
裕一のことが気になって、館林会長にも裕一がおかしいことを報告しますが、相手にされませんでした。
「そろそろ時間です。ご用意願います。」
真面目に話す時間もなく、とうとう公演の時間となりました。
客席には次々に観客が集まっていました。
三郎、まさ、浩二の姿もあります。
照明が 落ちて幕が開くと、場内は拍手で包まれ、舘林がタクトを振りるとメンバーたちの熱気あふれる演奏がスタートしました。
三郎からの告白
定期演奏会前日。
「おめえ音楽好きか?」
裕一は、三郎から呼び出され、唐突に聞かれました。
そして、三郎は、自分が家を継ぐことになった境遇について話し始めました。
明らかに三郎の様子がおかしいと気づく裕一。
「ねえ、、、な、何なの?さっきから。」
裕一は、戸惑いながらも三郎に聞きます。
「俺、、、やっちまったんだ。」
「俺の悪い癖だ。つい人を信用しちまう。」
三郎は、裕一には音楽の道を、浩二には老舗呉服屋『喜多一』を継がせたいと考えていたので、養子は断るつもりでしたが、金儲けの話にだまされ、多額の借金をし、茂兵衛から融資を受けなれば喜多一を潰してしまう局面にいました。
そのことを裕一に告げたのです。
自分が作曲した曲で指揮をとる裕一
演奏会も順調に進み、とうとう裕一が作曲した曲の演奏となりました。
舘林が客席のほうに向きをかえ、我が倶楽部で初めて作った曲を演奏すると観客に伝えます。
そして、作曲をした裕一を紹介するのです。
「彼は、独学で作曲の勉強をした努力家です。」
「是非、彼のほとばしる熱意のほどをお聴き取り下さい。」
観客は拍手で迎えます。
すると館林館長が予期せぬことをいいだしました。
「じゃあ 古山君 指揮を。」
驚く裕一の目を見つめて、舘林がいいます。
「君の曲だ。君がやるべきだ。」
「はい。」
裕一は意を決して前へでて、館林館長から指揮棒を託されます。
裕一の葛藤
裕一は、昨日の話をかみ締めながら指揮をとります。
三郎は裕一にだまされたこと、叔父から融資を受けること、その条件が養子縁組であることを伝えていました。
「家族にとって、、、僕が養子に行くことが、、、一番いいんだよね?」
裕一は三郎の言葉を聞いて、家族にとって何が一番いいのかを再確認します。
「ちっとだけだ。ここふんばれば また新しい可能性も見えてくる。」
三郎にどんな?と裕一が問いますが、何も答えられない三郎。
「分かった。今度の公演で最後にする。」
そういって自分の部屋へ戻ろうとする裕一に三郎は諦めるなよと声を掛けます。
「残酷だよ、、、父さん。」
演奏を聴きながら、三郎は裕一との話を思い出すと、涙をこらえきれなくなっていました。
公演終了後、裕一は福島ハーモニカ倶楽部を辞めることを部員の皆に伝え、謝りました。
旅立ちの日
公演が終わったあとは、卒業に向けて、淡々と授業に専念する裕一。
茂兵衛が経営する川俣銀者からの融資のおかげで、喜多一は急場をしのぐことができました。
月日が流れて、裕一は無事、商業高校を卒業します。
そして、裕一が旅立つその日がやってきました。
呉服屋『喜多一』の前で、見送る三郎とまさ。
まさは、裕一に荷物をすでに銀行に送ったことを伝えます。
「ありがとう。 皆さんも お世話になりました。」
「行ってきます。」
そういって、裕一は喜多一をあとにします。
そんな裕一の後姿をみて、三郎は堪えきれずに店の中に入っていってしまいました。
裕一は汽車の中で空を眺めています。
とても晴れた気持ちい空でした。
川俣銀行ついた裕一は、自分の部屋に入るとまさが送ってくれた荷物がすでに届いていました。
荷物を開けてみると中には手紙が。
手紙の横には、ハーモニカが添えられていました。
川俣銀行で住み込みで働く裕一
高校を卒業した裕一は、茂兵衛が経営する銀行に住み込みで働いてました。
裕一は、厳密にはまだ養子になっておらず、仕事を覚え一人前と認められたときに、権藤家の養子として迎えられます。
裕一の叔父が川俣銀行の頭取であることは誰もが知るところで、将来は受け継いで川俣銀行の頭取になるかもしれないと裕一は町の噂になっていました。
銀行で働くというと、忙しいというイメージですが、このごろの地方銀行は、昭和2年の恐慌で仕事も減り、暇を持てあます日々。
行員もたったの5人です。
裏から聞こえてくる 機織り機の規則正しい音でついつい眠気を誘われ、うとうとする裕一。
それを見た相島一之演じる落合吾郎は、裕一に瀬川商店に小切手帳を持って行くよう頼みます。
すると堀内敬子演じる菊池昌子が、三角屋のおまんじゅうもお願いと頼みます。
行員たちは、未来の頭取ということも気にしておらず、普通に受け入れている様子。
裕一が以前違う饅頭を買ってきたことをいじられると
「古山君は、 間違えたんじゃないですよ。」
「あの日は、雨が降っててじめじめしてたから」
「丸方屋の粒あんの方が、あっさりしてて いいと思って買ってきたんですよ。」
「ねえ 古山君!」
と、唯一、一人だけ露骨にごまをする入社2年目の望月歩演じる松坂寛太がいました。
ダンスホールに連れ出す鈴木
銀行で働き始めて半年くらいたったある日のこと。
裕一が女性と触れ合う機会があんまりないという話題で行員たちが心配をしていました。
すると松尾諭演じる鈴木廉平が、その日の仕事帰りに裕一をダンスホールに連れ出すことにしたのです。
裕一は、もちろんダンスホールに入るのは初めてで、その華やかさに目を丸くするばかりです。
ダンスホールで男性たちはチケットを購入し、お目当ての踊り子に差し出す。
もしも、受け取ってもらえれば、踊り子が了承したということで、 ダンスを楽しめますが、断られることもしばしばあるのがダンスホールの楽しみ方。
そういってダンスホールの仕組みを裕一に教える鈴木。
人気の踊り子は、その誘いを断ることも珍しくないといい、一番人気の踊り子を裕一に教えます。
裕一がその美しい女性、志津を見ていると、次々と男性からのチケットを断っていました。
鈴木は高嶺の花の志津より、あまり男性からのアプローチがなさそうな踊り子に目をつけます。
鈴木に誘導され踊り子の前でチケットを出そうとするも、チケットが見つからずもたつく裕一。
「あっあっ、あった! あった!」
とつながったままのチケットを取り出すと、なんとそれを後ろから来た志津が取り上げ、1枚ちぎりました。
堀田真由演じる志津は、群がる男たちには目もくれずに、なぜか自ら裕一にダンスを申し込んできたのです。
裕一と志津は、手を取ってダンスを始めました。
生演奏の音楽が響く中、足下もおぼつかない裕一は天にも昇る気持ちでした。
裕一はたちまち恋に落ちたのです。
恋で彼を元気づけよう作戦計画
ダンスホールでダンスをした翌日。
会社では、そろばんを抱えながらうっとりと夢見心地な裕一がいました。
仕事中もずっと志津のことばかり考えているようです。
すっかり、色ボケした裕一を見た行員たちは、裕一の恋の話で盛り上がっていました。
それを見て支店長の落合が、裕一に関する噂を鈴木たちに話して聞かせました。
それは、裕一は西洋音楽の作曲家になりたかったが、茂兵衛に子供がいないことから仕方なく養子に来たという話でした。
菊池も
「夢破れて来てっから、いっつも死んだフナみてえな目してたのよ。」
と納得した様子。
しかし、恋を知った今の裕一は、蘇ったように生き生きとしていました。
そこで行員たちは、二人を交際させようと作戦を練ります。
名づけて『恋で彼を元気づけよう作戦』。
かくして行員たちのお節介な作戦は開始されます。
鈴木は、今日もまた裕一をダンスホールに誘います。
「2日続けてというのは、、、。」
と腰が引ける裕一に
「いやいやいやいや… 恋愛は待ったら負けだ。」
とけしかける鈴木。
中に入ると、後ろから現れた志津に、ダンスホールにいる男たちは、一斉にチケットを差し出します。
全員無視されますが、裕一が恐る恐るチケットを差し出すと志津はこの日も受け取ってくれました。
祐一は、それ以来、毎晩毎晩、志津のもとへ通ったのです。
志津の手を取り、日に日にダンスも上達する裕一。
毎日にように通い続けていると、驚くことに志津から一緒に外でご飯を食べない?と誘ってくれました。
接吻大作戦
「外で会った!? 」
裕一が外で食事した話を聞いて驚く落合。
「ハッ! でもそだにきれいな人なら早く交際した方がいいわ。」
女は移り気、他の人もいっぱい狙ってるんだから早く自分のものにした方がいいと熱弁する女性行員菊池。
そこへ松坂が
「昌子さんは交際って一口に言うけど、交際の境界線って何なの?」
と珍しくいい質問を投げかけます。
「確かに交際の境界線って、それぞれの組み合わせによって変わってくるわ。」
そこで、男たちがいろいろな案をいいますが、ことごとく却下する菊池。
どの男も薄い考えにに経験豊富な菊池は駄目だしをします。
そこへ思案していた菊池から衝撃的な言葉が出てくるのです。
「接吻ね。」
「接吻!?」
動揺して立ち上がり、鈴木のお茶をこぼしてしまう裕一。
「きれいで経験豊富なレディー、片や恋愛未経験のボーイ。」
「この2人をつなぐためには接吻!うん、、、接吻しかねえわ!」
渾身の主張をする菊池。
それに反論することなく賛同するほかの行員たち。
「う~ん、、、いや一口に接吻っていってもどどうすればいいか、、、 分かりません。」
裕一は突然の展開にどうすればいいかわからないと困惑します。
菊池はすっくと立ち上がり、襟を正してこう言います。
「いきなりがいいわ。」
全男性陣は、それは無理だとおよび腰。
「女はドキドキしたい生き物なの!」
「ドキドキさせるために必要なのは予期せぬ事態よ。」
菊池の力説は止まりません。
こうして、接吻大作戦は全員の協力の下決行されることになります。
接吻大作戦の決行当日
雰囲気のいいレストランで食事をする裕一と志津。
レストラン内に裕一の同僚たちがいるとも知らず、志津は楽しげに裕一と話をしています。
裕一は接吻のことで頭がいっぱいで、志津の話がまったく耳に入っていませんでした。
ただただ、この唇をどうやって奪うのかを思うと、唇ばかりを見つめてしまいます。
すると志津が席を立ち、行員たちに緊張が走りました。
作戦会議で菊池にレクチャーされた瞬間がやってきたのです。
「彼女がお手洗いに立った時が その時よ。」
菊池の作戦の全貌はこうです。
戻ってきた志津を予期せぬ事態でこけさせ、倒れそうになったところを裕一が受け止め、そこで接吻をする。
頭ではわかっていても気が気でない裕一。
何も知らず戻ってきた志津は、鈴木が差し出した傘につまずいてこけてしまいます。
すかさず受け止めに飛び出す裕一。
行員の男たちが
「今だ!」
と思った瞬間。
ドキドキと緊張に押しつぶされた裕一は
「だ、、、 だ、、、大丈夫ですか?」
と言うのが精一杯なのでした。
がっかりする行員たち。
接吻大作戦はこうして、失敗に終わりました。
帰り道、作戦に失敗して落ち込んでいる裕一に、志津がこれからは外で会いましょうといい、志津を見送りました。
祐一は、接吻作戦は失敗しましたが、想いが通じたと思い喜びます。
天にも昇る気持ちで、思わずガッツポーズが出てしまいました。
その様子を背後から見ていた人物が、、、
鉄男との再会
有頂天になっていた裕一は、後ろから声をかけられます。
「何やってんだ?おめえ。」
見知らぬ男に絡まれたと思い込んだ裕一は、わけもなく謝ってしまいます。
「俺だ。鉄男だ。」
なんとそこにいたのは少年時代に乃木大将と呼ばれていた同級生の鉄男でした。
子供の頃、鉄男の家族が夜逃げをして以来の再会です。
中村蒼演じる村野鉄男は、藤堂先生の紹介で新聞社の記者になっていました。
まだ店の取材くらいしかさせてもらっていませんが、夜逃げまでした子供時代を知る裕一はよかったと心から喜んでいました。
ところがよかったじゃねえだろと激怒する鉄男。
「なあ、、、 何で音楽やめた?」
家族のためだから仕方ないという裕一に、納得がいかない様子の鉄男。
「お前の家の事情はよく分かんねえ。」
「ただ 昔 俺が『弟食わせるために 働かなきゃなんねえ詩なんか書いてらんねえ』って言ったら お前言ったよな?」
鉄男は実は子どもの頃裕一に言われた言葉を心の支えにしてきたのです。
鉄男は、しがみつけば必ず道は開くと、子どもの頃に裕一から言われた言葉を信じて、今も詩を書き続けていました。
「俺が詩を書き、お前が曲を作る。」
「その歌がレコードになりみんなが聴く。」
「そんな夢を描いてたけど、、、」
「それもまた夢だな。」
返す言葉もなく、薄笑いでごまかすしかない裕一でした。
茂兵衛に交際を反対される
翌日になっても、裕一は、鉄男に言われたた言葉が頭から離れませんでした。
郡山まで現金の入ったカバンを届けるように仰せつかった裕一は、上の空でバスの中に大事なカバンを忘れてしまうのです。
その頃銀行には伯父の茂兵衛が訪れていました。
そこへバスにカバンを忘れてしまったと飛び込んで来る裕一。
「たわけが! 」
茂兵衛が怒鳴ります。
「踊り子にうつつを抜かしてるらしいな。」
「すぐ別れろ! お前の相手は俺が見つける」
なぜかそこには忘れたカバンがあって、ホッとしたのもつかの間、茂兵衛から志津との交際を拒絶され、地獄に落ちたような気分になる雄一。
志津に告白する裕一
その晩ひとり落ち込む裕一。
夢も自分も見失っていた裕一にとって、もはや心の支えは志津だけでした。
夜の町に志津を探しまわり、ついに志津を見つけました。
裕一は、昨日叔父から反対されたこと、志津への想いを伝えます。
「僕、、、 伯父に反対されたけど、、、」
「反対されて気付いた。」
「き、、、 君のことが、、、好きです。つきあってほしい。」
絞り出すように言葉にする裕一。
すると、突然志津が高笑いを始めたのです。
なぜ笑われているのかと混乱する裕一に、
「ねえ 私 誰だか気付かない?」
「とみなとみ。小学校の同級生の。」
と正体を明かします。
まさか、あの金持ちで幼少時代にけんかをしたとみ?と頭をよぎる裕一。
「やっと思い出した?」
とみはダンスホールで裕一を見かけたときにすぐに気がついたのです。
しかし、裕一はとみと気づかず無視をしたのでした。
「近づいてほれさせてここぞっていう時に『バーカ』ってやってやろうと思ってね。」
無視されたとみは、しゃくだからからかってやろうと思ってわざと近づいたのだと話します。
とみは実家が潰れてダンスホールの踊り子になったこと、毎日男の機嫌をとって必死に稼いでいると身の上を語りました。
「なのに何?あんたは銀行の跡取り?冗談じゃないわよ!」
とみには、裕一が何の苦労もなく呑気に暮らしているようにしか見えなかったのでしょう。
「あんたは昔からそう。そうやって どっかで私たちのことバカにしてんのよ。」
「昔は『音楽家でござい』って顔してたけど 今は『銀行家でござい』ってか?」
「バカバカしい!」
言いたいことを全部言ったとみはすっきりしたと言い放ちます。
「じゃあね~お坊ちゃま。大人になるのよ。」
そう鼻で笑って志津は、どこかへ去っていきました。
こうして裕一の初恋は、はかなく散ったのでした。
以上が、朝ドラ「エール」第3週のネタバレあらすじでした。
朝ドラファンの皆さんのコメント!